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Talk 01
月永理事長×看護師×リハビリテーション

在宅医療はほかの病院と何が違う?
医療従事者として大切なこと。

Talk 02

さつきホームクリニックの診療チームは、日々、患者さまの元へ訪問し、さまざまな暮らしや人生に寄り添いながら診療を行っています。訪問診療を行う医師(理事長)、訪問診療への同行や訪問看護を行う看護師、訪問リハビリテーションを行う作業療法士の3名に、さつきホームクリニックについて、医療専門職としての働き方、患者さまとの付き合い方など、ざっくばらんに語っていただきました。

  • 医療法人賛永会理事長 月永洋介 (つきながようすけ)
    兵庫医科大学卒業後、順天堂大学泌尿器外科学教室に入局。丸山記念総合病院にて泌尿器科部長を務めた後、2016年4月にさつきホームクリニックを開院。
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  • 看護師 髙田葵依 (たかだあおい)
    済生会宇都宮病院消化器外科病棟の看護師として8年間勤めた後、仕事と生活のバランスがとれる環境を探し、さつきホームクリニックへ。
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  • 作業療法士 時庭吉家 (ときにわよしいえ)
    国際医療福祉大学塩谷病院での急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟、倉持整形外科での外来・通所リハビリテーションを経て、さつき訪問リハビリステーションへ。
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さつきホームクリニックに決めた理由

時庭さんも髙田さんも在宅医療は未経験からの入職ということですが、
なぜさつきホームクリニックで働こうと思われたんですか?

時庭

もともと在宅医療には興味がありまして。在宅だからこそリハビリテーションとして生活の質を上げやすいのかなと感じていたので、訪問リハで働きたいと思っていました。

その中で、ホームページにあった「在宅医療はあきらめの医療ではない」という月永先生の言葉を見て、在宅で治し支えるという部分に共感しました。月永先生に実際にお会いした時に、先生が目指す医療にはリハが必要だというお話を聞いて、僕の中で熱くなるものがあって

あと、実際に見学に来た時のスタッフさんの雰囲気もとても良かったです。リハスタッフだけじゃなくて事務の方とかもすごい挨拶してくれて。仕事をする上で人間性が大切だと思っていたので、職場の雰囲気の良さを感じて、さつきで働きたいなと思いました。

髙田さんはいかがですか?

髙田

前にいた急性期の病院には、がんの患者さまも多くいらっしゃって、終末期の患者さまを何人か看させてもらっていました。ただやっぱり忙しい中で、ゆっくり患者さまの気持ちを聞いて関わることがなかなかできなくて。

終末期の患者さまの中には、「最後はおうちに帰りたい」という方も結構いて、いろいろと調整して家に帰るのを見届けることはしていましたが、結局その後どうやって過ごしているのかな、と気になっていたんです。
だから、家で過ごすのを支えたり、支援したりする側に回りたいなと思って、在宅を目指しました。

あと、退院カンファレンスで月永先生を一回だけ見かけたことがあって…

月永

え、知ってたの? 担当の病棟ナースとして話した中にいた?

髙田

いました(笑)
月永先生にそのカンファに参加していただいた時、「熱いな」と思ったんです。患者さまのことよく考えて、いろいろ在宅でもやってくれる先生なんだなって。

だから、転職先の一覧の中でさつきホームクリニックが目についた時に、月永先生のことを思い出して、鹿沼とかにも事業を拡大していて勢いもありそうだし、どうせ初めて在宅医療をやるなら、いろいろ学べる環境がいいなと思ってさつきを選びました。

最終的に在宅医療にたどりついた

月永

時庭くんがリハビリテーションをやる中で、リハってどうしても生活が重要だから、訪問リハという単語が当然の選択肢として出てくると思うんだよね。
それで訪問リハができる職場を探していて、「いいクリニックがある、見に行ったら人も良かったな」となったから、さつきに来る道筋としては、ある意味ゴールデンコースじゃないですか。

時庭

そうですね。

月永

でも、髙田さんは、そこまで在宅医療は(選択肢として)考えていなかったけれど、「患者さまとの距離感をもっと近づけたいな」とか「もうちょっと、あくせくせずにゆっくり働きたいな」と考え始めた看護師8年目の時に「あ、在宅っていうのがあったんだ」と思ったタイプなのか、それとも、そもそも訪問看護や在宅医療をやりたいと思って入ってきたのか。

看護師さんは2パターンいるからどっちかな?って。在宅医療なんて全然考えずに入ってきた人でも、今大活躍している人もいるから。

髙田

仕事を探す時に在宅医療だと限定していたわけではなかったですね。とりあえず条件としては、夜勤がない…

月永

うん、夜勤がなくて。

髙田

生活リズムがある程度安定できるような仕事がいいなと思って。とりあえず第一条件は夜勤がない仕事で探してもらって、普通のクリニックとか在宅医療とか施設とかが選択肢に出てきた中で、在宅医療ってよくよく調べてみたらいいかもと思って。

私ももともと、患者さんの想いを聞いて、想いに寄り添えるような看護がしたいなと思ってずっとやってきたので。意外と在宅医療だったらそれが叶うのではないかと思い、最終的に在宅にたどりついたっていう感じでした。

月永

実際のところ、ちょっと言葉が悪いかもしれないけど、結婚とか自分の将来設計を含めてワークライフバランスをとりたいと考えている女性が、でも、やりがいも欲しいっていう図々しい理想にはまったということだよね。

でも、そこが大事なんだよ、うちは。

髙田

確かに、「働くママパパを応援します」みたいなのも結構掲げているじゃないですか。私も、これから結婚して子どもも欲しいなと思っているので、福利厚生の部分での魅力はありました。

月永

言わされてない? 大丈夫? (笑)

髙田

言わされてないです(笑)

ワークライフバランスの考え方

さつきが、ワークライフバランスを重視するようになったのは、どうしてでしょうか?

月永

自分がこういう、人が亡くなっていくところで仕事をしているから…人生って時間が限られているから、やっぱり有効に使って欲しいという想いがまず第一にあるじゃないですか。

あとはやっぱり、看護師さんは30代が一番勢いがあって、覚えもいい。でも、看護師として8年目9年目くらいで、やる気もあって、ぐっとドライブをかける時に、どうしても結婚適齢期や出産適齢期が来てしまう。そういった時に、こういういい人材にどう働いてもらうかが大事だから。自分の生活についてゆっくり考えたいなと思っているけど、仕事も充実したいという、その図々しさを受け入れる土壌をこっちが持っていないと。

そういった方針で数年やってきて、月永先生としては手応えを感じていますか?

月永

感じていますね。
ただ、それぞれの時間帯をうまく利用するためのパズルが難しいよね。
「私は9時から1時までやります」、「私は1時から4時までいます」を足して1にするっていう作業が難しいから、人事はシフトとかが大変だと思う。でも、そこを工夫すれば能力が高い人が入ってくる。

「一人で訪問に行く」のは不安だったけど…

お二人とも入職されて半年程ですが、実際に働いてみてどうですか?

時庭

業務としては、やっぱり一人で行くので、最初はすごく不安が大きかったです。でも、チームの雰囲気がいいので何かあったらすぐに相談しやすいですし、LINEWORKSを使えるのも、すごくいいなと思って。

最初は、先生にLINEを送るなんてどうやっていいか分からなかったんですけど、使ってみたら連絡がすぐにとれるので、それはすごく革新的というか、びっくりしました。

髙田

私も在宅をやる前は、一人で患者さまのところに行って、全部自分で考えないといけない、みたいなそういうやんわりとしたイメージがあって、本当に大丈夫かなと思ってやり始めたんですけど…。LINEWORKSがあるので、困ったらその場ですぐ上司に相談できるし、先生にも相談できるし。

意外と病院の時よりも先生との距離は近いような気がして、思ったよりも安心して働けています。自信を持って働けているというか。

月永

LINEWORKSは、普段使い慣れているLINEと同じ感じで使えるからいいんだよね。僕もスタンプや絵文字の使い方で、どうニュアンスを伝えるかをすごく意識しているから。

時庭くんから炎のヤル気の絵文字が送られてくれば「ヤル気満々です」って伝わるし、「なんかほんとすみません」みたいのがくると、伝わってくるもん。

時庭

そうですね。

月永

それってすごく重要なんだよ。だから僕に送るからといって文字だけにする必要はないし、僕も労う時には絵文字をいれるようにしているし、考えてやっているから。

患者さまとの距離感

髙田

私、一番最初の一軒目に行った家で、一緒に清拭させていただいたんですけど、8年間なにやってきたんだろうっていうくらい手がプルプル震えちゃって。
新人のようになりながら(笑)、ど緊張しながら、ケアしたのをすごく覚えています。やっぱりなんか家にお邪魔するっていうのが、すごく緊張はしましたね。
今はだいぶ慣れましたけど。

月永

始めたばかりの医師もそうじゃない? たぶんアウェイで行っているから、緊張するのは医師も同じだと思う。慣れが必要。

僕なんかは、たまに平日の診療所とか、病院の診察をする時のほうが緊張するっていうか、なんか立ち位置が分からない時があるよ。いつも訪問診療ではすごい近くで診察するのに、普通の診察でそんなに近づく先生気持ち悪いじゃん。
だから正直距離感つかめないのはあるかもしれない。どうしたらいいか分からない(笑)。

在宅医療をはじめて、患者さまとの距離感は近くなったと思いますか?

髙田

距離感はあんまり…

月永

もともと近いよね、看護師は。

髙田

はい、変わらないかもしれないです。
でも、病院にいた時は患者さまのところにいてもナースコールで呼ばれたり、他の患者さまの手術や検査の送り迎えとかで呼ばれたりで、途中で中断して出てこないといけないことがあったけど、今は、決まった時間はその患者さまのためだけにすべてを使えるので、そこはすごく密に関われていいなと思います。

月永

あぁそうなんだ。それはいいね。

時庭

リハはもともと40分や60分の枠で一対一が基本なのでとくに変わりはないですが、場所が家なので、患者さまのご家族と話す機会は増えました。

リハをしている所も見て頂けるので、一緒に目標を立てたりだとか、「これくらい良くなりましたね」と報告できたりとか、ご家族も喜んでいる姿が見られるのがまた魅力的です。

月永

時庭くんが担当している患者さまのご家族が、「時庭くんいいね」って言っていたよ。

時庭

ありがとうございます! 良かった。

月永

そのご家庭は、最初、リハの部長が担当していたのを時庭君が引き継いだから、すごい期待もあってハードルが高いわけです。だからどうしても一回は評価が下がりがちだけど、それをどう盛り返すかだから。

時庭

すごく嬉しいです。

月永

何か注意していることがあるの?

時庭

やっぱり患者さまご本人やそのご家族が何を望まれているかでパフォーマンスが変わると思います。しっかり動かしているところを見ていただいたり、「こんなにやわらかくなりましたね」とか「動けるようになってきましたね」などと声かけをしたり。

月永

それすごく重要だよね。
例えば、すごくスペシャルな対応を求められることもあって、そういう時にそのスペシャル感をどう出すかというのをしっかりやれれば、それ以外のところにいっても全然うまくできるから。

髙田さんは何か気を使っていることはある?

髙田

そうですね…ご家族の方に要望がたくさんある時は、まずはその気持ちを汲み取ってその通りに動きつつ、やっている感じですね。その気持ちの満足度を高められるように

月永

そうそう。さっき言ったように満足度をどう引き込むかっていうのはすごく重要なんだよね。さっき言っていたご家庭は、ご家族まで「私をみてほしい」っておっしゃっていたよ。

時庭

ほんとですか(笑)

月永

ほんとだよ、依頼がきちゃったよ。むちゃくちゃ元気なのに(笑)

月永先生に聞きたいこと

この機会ですから、お二人とも、月永先生に聞きたいことがあれば、ぜひ。

髙田

そうですね…どんな看護師さんに入ってきて欲しいとかありますか?

月永

どんな看護師さんか…。でもすごく今の話と共通していて、やっぱり人に興味を持って人に優しくできる人がいい、とにかく。
技術的なものはあるにこしたことはないけれども、それよりも何よりも、人に興味があって、他の人のために行動するんだという信念を持っている人がいいよね。

それは当然、それぞれに生活があって時間という制御があるので、うまくいかない部分もあるけれど、業務の時間外で「この人のためにどうしてあげたらいいんだろう」という感覚がなくなったら、もうおしまいだから。もう医療従事者やめたほうがいいと僕は思うんで。それが一番大きいかな。

髙田

はい。

月永

他の人に対する興味がないと、本当にその人のためにはならないので。そこが大事だな、一番。で、「その人のためにこうしたい」と思うから技術がつけられるんだよね。例えば僕が泌尿器科で泌尿器のがんを診ていて、ここに認知症がかぶっているからどうしたらいいんだろうと思って認知症の勉強をする。それは、その患者さまのために認知症の勉強しているわけで。そこを繰り返してきたから、自分の今があるんじゃないかな、と。それは看護師さんも一緒だと思う。

時庭くんは、何か聞きたいことある?

時庭

さつきに入職する時に、月永先生に「患者さまに興味を持ってください」と言われたのが印象的で。リハをやっていく中での会話を自分は大切にしていて、何を考えて今まで生きてきたのかとか、価値観とかを汲み取れるようにしてきたんですけど、先生はそういうのを汲み取るにあたって、必ず聞くようにしていることとかポイントってあるんですか?
患者さまの想いだったり…

月永

なんだろうな。

時庭

そこって曖昧なところで、「この人はこういう人だ」って自分の中で作っていく中で、どうしてもこちらの主観が強くなってしまうと思うんです。先生はカンファとかでも患者さまのことをよく分かって話されているので、どういう会話の内容や行動をしているのか…

月永

どうやっているか…、まず大切にしているのは先入観を全く持たないことです。全く持たずに行って、会って話して、ああこんな人なんだっていうのをつかむ。自分で見て聞いたことしか信用していないです。

時庭

じゃあ、患者さまお一人おひとりに聞く内容が全然違うんですね。

月永

それは患者さまに関係なく誰に対してもそうだよ。時庭くんに聞いていることと、他のスタッフに聞くことは全然違うし。
細かい話をしても流しそうな人には、軽口を言うような、軽い対応の方がコミュニケーションは生まれるなって、僕は感じている。でもそのコミュニケーションの取り方を時庭くんにしても、時庭くん的にはそれは好きではないだろうから、真面目にバスケットボールの話をしているほうがいいなとか、それはもう人を見て決めていると思う。
でも、何でも聞けばいいわけじゃないし、難しいよね、すごく。

時庭

そうですよね。

月永

患者さまに対してもそれと全く一緒で、距離感をすごく意識しながら、相手が何に興味があるのかをよく見ている。例えばお子さんのことなのか、壁に飾ってある絵のことなのか。相手の興味から外れれば、話が終わっちゃうから。                 
職歴とか、ある程度の情報は持っておいた上で、こういう生い立ちの人だからここら辺のことに興味があるかなって、ちょっとジャブを打ってみて、外れたらまた色々と…

時庭

なるほど。

月永

ジャブ重要です。バスケットもそうでしょ、いきなりいくと抜かれる。とにかく見て、まずはディフェンスじゃない。

時庭

はい。

月永

距離をしっかりとって、相手側にボールを渡さないと。

時庭

どう動くかをみて…

月永

で、何も動かなかったらこちらから動く、と。

時庭

はい、すごい分かりました(笑)

(2021年8月12日取材 文・編集・撮影 広報 藤井弥恵)

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