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Talk 02
月永先生×法人マネジメント

球団を運営して、管制塔にもなる?
法人マネジメントはこんなところです

Talk 02

事務長を中心に事業企画、人事、広報、総務などを務めるスタッフが集まる「法人マネジメント」。直接的な診療に携わることがないため、外からはいまいち何をしているのか見えづらい部署でもあります。法人マネジメントのスタッフがどんな想いを持って、どんな仕事をしているのか。月永理事長と対話する中で見えてきた、その価値と役割とは…。

  • 医療法人賛永会理事長 月永洋介 (つきながようすけ)
    兵庫医科大学卒業後、順天堂大学泌尿器外科学教室に入局。丸山記念総合病院にて泌尿器科部長を務めた後、2016年4月にさつきホームクリニックを開院。
  • 地域医療推進事業マネジャー 佐々木淳也 (ささきじゅんや)
    東京大学経済学部を卒業後、2010年に厚生労働省入省。社会政策に携わる中で、地域医療・福祉の可能性に未来を感じ、2020年に退官し現職へ。今年の4月、愛息子が誕生し、パパに。
  • 法人マネジメント所属 橘田菜穂 (きったなほ)
    宇都宮女子高等学校、お茶の水女子大学食物科学部卒業後、同大学大学院を修了。東京で就職した後、地元宇都宮へUターン転職。入職2年目で3児のママ。

球団ですよ、球団。

クリニック内でも、法人マネジメントの仕事は見えづらい部分がありますよね。
法人マネジメントってどんな存在なんでしょうか?

佐々木

やはり一番は、現場のスタッフが気持ちよく働けて、患者さまにいいサービスが提供できるようにする。そのルーチンを良い循環にしてさらに広げていく、そういう役割だと思っています。

僕自身は事業企画担当として、診療所の運営改善をしたり、介護分野での新規事業立ち上げを考えたり。直近では、ワクチン接種態勢の構築など、新型コロナウイルス関係の対応を考えるという仕事もありました。良い地域づくりにより貢献できる法人にしていくことを思い描きながら仕事をしています。

橘田

法人マネジメントの仕事は、クリニック内が円滑にまわって、患者さまによりよい価値を提供できるように、自分ができることで貢献することかな、と思っていて。

私は、事業企画の参考になるように、診療や訪問看護に係るデータを分析して、見える化をしています。ほかにも、LINEWORKSや内線表管理などの総務的な業務や、クリニック理念のリニューアルなど、いろいろな業務に携わっています。

月永先生は法人マネジメントの役割をどのように定義づけていますか?

月永

今、スポーツビジネスとかスポーツマネジメントに興味があるから野球で例えるけど、さつきホームクリニックが一つの球団だとしたら、現場のスタッフは選手。僕は選手の主将であり監督であり球団社長でもあるから、ちょっと大変な(笑)プレイングマネージャー。そして、この球団を運営するのが法人マネジメント。

従来運営する部署っていうのは、クリニックには存在しないけど、大きな病院では本部があることでスタッフが安全に質の高いことをできるので、クリニックでもそれを実現したくて法人マネジメントを作っているわけです。僕一人じゃ管理しきれないから。

主将と監督と球団社長を兼任していたら、確かに大変そうです…

月永

医師や看護師とかのチームをどういう風に強くするかを考えるのは監督の仕事だけど、それ以外にも、この球団をうまく運営したり、データ分析をもとに地域性などを考えてどこに出店すれば売り上げが上がるか検討したり、商品価値を高めるための広報活動をしたりすることが必要。

映画『マネーボール』でブラットピットが球団運営というものを変えたり、北海道日本ハムファイターズが東京から移籍して北海道を盛り上げたりしたのと同じような感覚で、法人マネジメントには、このさつきホームクリニックというブランドを、どう地域に根付かせていくか、他の地域に広めていくか戦略を立ててほしい。本当に球団ですよ、球団。

原動力は共感

法人マネジメントのスタッフとして求められることは?

月永

現場のスタッフが、安全に質が高くよりよく働ける環境を作ることですよね。そこにちゃんと向かっているかどうか。さつきのことが好きで、もっと地域に広めたい、強くしたい、良くしたい、それを求める人が法人マネジメントには必要です。

僕たちが作ってきている質感というものが好きでないと、法人マネジメントは務まらない。

佐々木

はい。逆説的ですけど、冷静なインフラ整備とかデータ分析とかが求められる中で、原動力はやっぱり共感しかないと思うんですよね。

僕はさつきの理念の中にある「自由に生きる」というキャッチフレーズに共感しています。お看取りにかかわることもある在宅医療はどうしても「終わり」のイメージにとられがちだけど、別に「終わり」は結果でしかなくて。人は最期まで「生きる」わけですから、より良く「生きる」ことができるようどのように医療というツールを使って支援できるのか、がポイントだと思っています。

どんな状況にある方々も、安心して暮らせる環境を地域で作っていくことで、社会を変えていける可能性を秘めていると思うからこそ、僕はそこに強く共感しているな、と。

さつきで働こうと思ったきっかけ

橘田さんは東京からUターン転職、佐々木さんは東京のご自宅から宇都宮まで通いながらさつきホームクリニックで働かれていますが、ここで働くことを選んだきっかけは何だったんでしょうか?

橘田

私は生まれ育ったのが宇都宮なので、いずれは地元に貢献したいと思っていました。子どもにも自分が育つ宇都宮を好きになってほしいし、自分も何かしらの形で宇都宮を元気にしたいなぁと。さつきのホームページを見て、在宅医療で地域に貢献しているここなら、それが実現できると思いました。

それから、さつきの就業規則は「シングルマザー・シングルファザーでも働ける」ことを基準に設定されていて、色々な働き方を応援してくれるので、子どもとの時間を大切にしたい私には安心できました。

月永

ワークライフバランスを意識しての転職だったもんね。東京に通っている頃と比べて、仕事と家庭のバランスは変わった?

橘田

そうですね…、家庭と向き合える時間が前より増えたことで「子どもと一緒にいられない」というフラストレーションが緩和されて、気持ちが穏やかになりました。心にゆとりを持って家庭も大事にできるので、自分も満足できているというか。

月永

素晴らしいじゃないですか。

佐々木

僕もワークライフバランスという意味で、自由に働かせてもらっています。デスクワークは東京の自宅でして、現地作業や大事なミーティングは宇都宮へ来て、という感じで。前職では家庭での時間が持ちづらかったので、今のスタイルはとても嬉しいです。

先生はどうですか? 仕事か家庭か、みたいな話にはならなそうですが(笑)

月永

僕は結構、仕事は人生のすべてですよ。どっちかっていうと仕事の中に家庭も入っている。最近は入ることができたからすごくやりやすい。地元でやっているから家族が近くにいるし、日曜日もあるし。

クリニックに子ども連れて来たりもしているし、何より「こういう父親だ」って自分の背中を見せようと思っているから。

「良いものを作ろう」っていう
情熱がここにはある

月永

「僕たちが作ってきている質感というものが好きでないと法人マネジメントは務まらない」ってさっき言ったけど。

佐々木さんなんかは、自分が国の中枢で働いていたのに、なんで宇都宮に来たかっていうところでいうと、僕という人間とか僕の価値観が好きじゃなかったら、絶対来ないと思うんですよ。

佐々木

そうですね。さつきの第一印象は…やっぱりこう、「良いものを作ろう」という気力にあふれているっていうことですよね。スタッフさんからもそういうものをひしひしと感じました。

僕が厚生労働省で働いていたのは、制度を作ったり国の予算をつけたりといった仕事が、社会を作っていくツールとしても、自分に与えられた選択肢としても、とても恵まれていると思ったからです。
一方で、実際やってみると、国が成熟化をし、例えば社会保障制度はかなり緻密に完成してきていて、大きく変えるということは難しくなってきている。国のお金をみても、経済成長が鈍化している中で、高度経済成長期のような豊かな税財源もなく、大盤振る舞いはできない。

もちろん、行政の仕事の重要性は不変ですが、さまざまな閉塞感もある中で、政策に携わった人間としてより攻めていくためには、成熟化しているという条件のもと、地域の現場で「どう良いものを作るか」に向き合う機会がないといけないな、と思いまして。そこに直面していた時に、さつきに出会いました。

月永

机上で、「良いものは地域で作るしかない」っていうのは、佐々木さんのキャリア的に当然思うじゃないですか。でもそれで中々いけないよね。

それは何がそうさせたの?

佐々木

やはり共感ですよね。想いがあってもいい現場に出会えないことも多い中で、「良いものを作ろう」っていう情熱がここにはある、というところが決め手だったかなと。

働いてみてどうですか

月永

働いてみてどうですか、ろくでもなかったですか?

橘田

ろくでもない…(笑)

佐々木

いやいや(笑)

月永

「この人夢があふれてていいな」と思ってかなぐり捨ててきてみたけど、やっぱりろくでもないじゃんってなることもあるでしょ。

佐々木

そういう意味では当初と印象は変わらないです。ただ一個あるのは、「良いものを作るということは非常に難しい」ということを理解しました、っていうのはありますね。

月永

それはいいと思うんだよね。ただ簡単に、思い通りにはいかないなと思っている、ということだよね。難しい。…僕がろくでもなく”ない”っていうのもちゃんと書いておいてください。

佐々木

(笑)。

はい、難しいと思うんです。我々に与えられた資源とシチュエーションの中でやらないといけませんから。想いだけでは解決しないですしね。

月永

日々、僕とともに悶々としていることだと思う。理想だけじゃどうにもならないから。

佐々木

そうですね。厚労省が提唱する「地域包括ケアシステム」なんかも、行政はそれを作りやすいようにと支援する制度やお金は用意するわけです。でも、最後の一手は人と人がチームを作って、良いケアを作っていくってことをしなきゃいけない。それを全国でできているかというと難しくて…。

月永

分かった! 僕今気づいたけど、結局、法案を作るとか法律を作るっていう流れで言うと、完成するから成功体験がそこにはあるじゃないですか。でも、その先が成功していないから、本当の成功体験を実はしていない。だから、佐々木さんは大きかれ小さかれ成功体験を生みたいんですよ。

だから今、さつきで、患者さんの笑顔が生まれるとか、地域包括ケアみたいな小さい共同体やコミュニティの中でいい結果がもたらされるのを見るとかして、「おぉっ」って思いたい

佐々木

そうですね、そういうことです。形としては変わるわけです、制度って。でも実態は中々見えてこない。

月永

ただ、実際そういうキャリアを踏んでいるからこそ、僕たちは佐々木さんのそこに期待してしまっているので。どちらかというと、さつきホームクリニックの中では大きい事業だったり、先があまり見えていない事業だったりをお願いしているからこそ、また成功体験が踏めていない悶々がある。

だから、もっと小さい仕事の方が、目の前にポンってハッピーがあるから満足度はあるかもしれないね。

佐々木

それはあるかもしれないですね。

月永

ね、そういう仕事が混ざっているほうがいいよね。

佐々木さんがコロナワクチン接種の調整をしてくれたけど、これなんて、患者さまは実はものすごく喜んでいるんですよ。

佐々木

そうですね。実際に患者さまのところに行って接種事務をやった時に、やっぱり違うんですよ、患者さまの顔を見ると。接種できるまでには半年以上の調整をはじめ、難しいこともたくさんあって。中々辛いプロセスもあったわけですが、おばあちゃんが、こう、来て。「ありがとう」って言ってくれて去っていくと、それだけでもう「あぁ、こちらこそ、どうもありがとうございました」っていう感じになるわけです。

月永

そうでしょ。自分の頑張りがなければそれが生み出せないわけで、佐々木さんが「いや、ちょっと無理ですね」って言ったら、行われてないから。

佐々木

通常の診療がある中で、患者さまへのサービスの質を保つためにも、現場の負担が過重になってはいけません。なので確かに、ワクチン接種をどう進めるか、そもそもどこまで接種委託を受けるべきかというのは、大きな選択でした。でも重い仕事だと分かっていても、やらないという選択肢はないわけですよね。ここでこれをやらないと価値が無い、っていう。

法人マネジメントとしては現場のみなさんに負担をかけてしまった部分もあるわけですが、でもそれでみんなが感謝される組織になれるし、それが地域の信頼を得ることにもなる。そういう小さな積み重ねをやっていくことが大切かなと。

月永

まだ、志は半ばという…

佐々木

はい。だから、法人マネジメントにはそういう決意をもった人に来て欲しいですよね。この志が成功するかどうかっていうのは分からないですが、チャレンジをしているっていうことが非常に大事だと思います。

ベンチャー企業みたいな感じだよね

月永

橘田さんはどうですか? 仕事の楽しみというか、ワクワクというか。

橘田

そうですね…。今までの経験を活かせる仕事もあるし、全く初めてのこともあって。それぞれ自分で少しずつ勉強して、理解しながら進めていく楽しみややりがいがあります。でも、それはすべて一人でやるわけではなくて、いろいろな人と知恵を出し合いながら協力してやるので、心強いし、より良いものができると思います。

月永

自分で働いたことはないけど、うちのクリニックの法人マネジメントに関しては、ベンチャーマインドというか、ベンチャー企業みたいな感じだよね。ゼロからイチを作っているから結構大変だし、サラリーマンをやってきた人からしたらゼロイチなんかやったことないだろうから、そこが合わなくて無理だって人もいるだろうね。だから、そういう(ゼロイチができる)人がいいよね。

橘田

そうですね、一緒に考えられる人が。

月永

まぁこれから2年も3年もしてくると、作ってみたいっていうより作られたものをどう大きくしていくかっていうフェーズに入るんだろうけど。法人マネジメントとしては、ゼロイチを作る人かそれを継続していく人かどっちが欲しいですか?

佐々木

やっぱり両方の視点が必要だと思います。発想だけで乗り越えられることはないし、だからといって着実な運営力だけでやれることでもないし。思いつきが上手な人、軌道に乗せるのが上手な人、その軌道を回していく人、このバランスが優れた時にいい組織ができると。

でも、明確にこの人はこのタイプって分けられるわけじゃなくて、一人が複数の要素を持っているっていうことなんですね。それを自分自身が自覚することが大事。

どれかに偏っているからこそ一人ひとりの個性が出るわけですけど、そのバランスを一人でとる必要はなくて、みんなでとればいいので。組織のチームとして、お互いの良いところを活かし合いながら作っていければと思います。

「医療の力で暮らしを豊かに」するために

さつきホームクリニックは、どういったビジョンを持って
どう進んでいくのでしょうか?

月永

昨年、僕と法人マネジメントのメンバーで理念の再構築をして、それを元にホームページも作りました。うちのミッション「医療の力で暮らしを豊かに」、キャッチフレーズ「自由に生きる」、この2つの言葉が物語るように、とりあえずもう組織としては、医療の力を使って暮らしを豊かにするっていうことだけを考えていきたいかな、と。

佐々木

はい。

月永

それは病院運営かもしれないし、在宅医療を増やすことかもしれないし、施設運営をするかもしれないし。栃木県にこだわることなく、どんどんそうなっていきたいなと思います。

そこでやっぱり、マネジメントをするこの法人マネジメントっていうものが土台としてないと。飛行場でいうところの管制塔みたいな役割として、これから多拠点展開していくのに管制塔が必要なので、そういう存在であってほしいと思いますね。

橘田

もっと地域に医療を広めて、あんまり格式ばったというよりも、医療が身近な存在になって暮らしを豊かにしていく。その役割をさつきが担っていけたらな~と思います。

佐々木

こういった話をするととても敷居が高いように見えてしまうかもしれないんですけど、実は敷居は高くないと思っていて。やっていることは至極当たり前の、「誰かのために何かをする」っていう仕事の原点なんです。

さつきは、物を作って提供するとかではなく、人から人に何かをすることで対価を得るところなんですよね。これって、人と人との関わりの根源のひとつで、そういう意味では、とても原始的なサービスだと思うんですよ。

月永

そう、現物支給。

佐々木

だからそれって誰でもやろうと思えばできるんです。もちろん資格職じゃないとできないこともあるわけですけれど、医療サービスとして分解をすれば誰でも貢献はできます。ワクチン接種で見ても、注射器だけあっても何もできないし、看護師さんだけいても何もできないし、僕だけいても何もできないし。でもそれぞれが力を出し合って一つのサービスを作っている。

で、ポイントは、誰でもそこに関われるってことだと思うんですよ。資格がなくても思いを共感し合い、理想に向けて何ができるかを考え・行動すれば、たとえば法人マネジメントとして月永先生が言った通り管制塔のような役割になれる。そして、組織全体をどうデザインして、良いサービスを作っていけるか、そこが大事なのかなと思っています。

月永

ビジネス的な話になるけど、とにかく売り上げが立たなきゃそれは企業集団として成り立たない。それは法人も同じなので、そこはしっかりと意識しながらサービスの質、企業価値といったところもきっちり高めていかなくてはいけない。地域密着の視点も大切だから、地域活性化などに興味がある人にも、ぜひ来てほしいなと思います。基本的な運営の仕事をしつつ、どれだけ他の人に価値を見出せるか、やってみたい人ね。

佐々木

経済学の世界では有名な話ですけど、クールヘッド&ウォームハート。アルフレッド・マーシャルというイギリスの経済学者の言葉なんですが、冷静な頭脳と温かい想いが必要、という。

月永

本当にその通りです。

佐々木

そういう人が必要です。来たれ、若人よ!

(2021年8月5日取材 文・編集・撮影 法人マネジメント広報 藤井)

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