『医療事務』ではなく『サポートチーム』。
相手を想ってニーズに応える
さつきホームクリニックには、診療サポート・患者サポート・算定のそれぞれのチームからなる「サポートチーム」があります。医療業界未経験からの転職も多く、それぞれが前職までの経験を活かして、幅広い業務にあたっています。さつきの窓口として、さまざまな人とのコミュニケーションが多いこのサポートチームには、何が求められるのでしょうか?
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- 医療法人賛永会理事長 月永洋介 (つきながようすけ)
- 兵庫医科大学卒業後、順天堂大学泌尿器外科学教室に入局。丸山記念総合病院にて泌尿器科部長を務めた後、2016年4月にさつきホームクリニックを開院。
医師の仕事をみる
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- 算定チーム所属 福島茜 (ふくしまあかね)
- 大手自動車メーカーの販売営業として6年間勤めた後、子育てをしながら働ける環境を求めて当院へ転職。医療業界未経験で入職し、現在は算定業務を担当している。入職4年目。
サポートチームの仕事をみる
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- 患者サポートチーム所属 柴菜々子 (しばななこ)
- アパレル業界で販売員として8年間務めた後、サービス業で培ったスキルを活かせると思い、当院へ入職。患者サポートチームで、電話対応や書類整備など幅広い業務にあたる。(インタビュー時は産休に入る1カ月前でした♡)
サポートチームの仕事をみる
「接客業として当たり前の対応ができる人」が欲しい
「医療事務」ではなく、「サポートチーム」という部署を作ろうと思ったのはなぜですか?
月永
僕は医者なので、やっぱり病気を治すっていうところに視点がいってしまう。患者さまを笑顔にしたり、いい雰囲気を作ったりということはできても、その他のすべての部分をフォローしきれるとは到底思えません。
だからこそ、クリニックの事務対応などについては、サービス精神を持って人をサポートする職業についていた人がやるべきじゃないかな、と思っていました。医療機関をもう少しお客様のニーズに合ったものにするためにも、事務方のスタッフは医療とは違う職種から受け入れたかったというのがあります。
実際、接客業の経験がある方がスタッフに加わってみてどうですか?
月永
やっぱり、お客さまに対しての丁寧な対応が身についていますね。福島さんも柴さんも、自動車営業やアパレルの接客を通して、相手が求めているニーズにマッチしたものを探すという癖がついているから。
よく福島さんにも言っていたと思うけど。
福島
そうですね。
月永
二人ともに共通することだけど、まずは院内スタッフに対しての間の取り方がうまいよね。確実に空気を読んで、「今だ」っていうところを狙って話しかけてくる。
柴
それはすごく意識しています。アパレル職だった時は、基本的にお客様にとって迷惑にならないように声をかけないといけないので。ここ(さつき)はみなさん忙しそうなので、基本、「今だ」っていうのを見極めていけたらいいなと思っています。
福島
素晴らしいですね。私なんか、見て、様子をうかがっているだけですけど。
月永
いやいやそれも大事ですよ。自動車だったりファッションだったり、それぞれが売っていたものの価格帯によって、また対応が変わってくるよね。
福島
私的には、前職で自動車販売をしていた時はショールームに来たお客さんを一人にさせない、声かけをするっていうことをすごく心がけていて。さつきでも、そこは最初からすごく心がけていました。
月永
それ、すごく大事だよね。だって、客として自動車のショールームに入るのは結構勇気がいるからね。そこで独りぼっちにさせられたら二度とそこのメーカーからは買いたくないってなるし。
それは病院も一緒じゃないですか。患者さまにとっては、足を運ぶだけじゃなくて、電話でも勇気がいるもん。保留音が長ければ長いほど不安になるし。
福島
そうですよね。
月永
その感覚を、彼女たちのような経験がある人じゃないと持っていないんです。だから、どんどんそういう人が欲しいんですよ。接客業として当たり前の対応ができる人が。
柴
私は、人の話をきちんと聞くことを心がけているので、患者さまのお話も理解できるまで何度もお聞きします。あと、接客の時もそうだったんですけど、相手にとってどんな言葉が分かりやすいのか、どのような状況に置かれているのか、を判断して話し方を変えるようにしています。
月永
柴さんもその辺は、さつきで一番ですよ。本当にニーズに対して言葉を変えているし、説明の仕方も変えているし。そういう人は、相手のことを想う気持ちが伝わるから、お客様側からも「ありがとう」って言われることが多いよね。
未経験からの転職。どう乗り越えた?
ここまでは接客業の経験がさつきで活きているという話でしたが、実際に、全くの未経験から医療業界に転職してみてどうでしたか?
福島
私はそもそも、病院にはかかるけどどういういう仕組みで動いているとか全然分からなくて。ただ、なんか事務って営業より楽なんじゃないかって正直思うところもあったんですけど、入ってみたらとてつもなく忙しいなっていうことに気付きました。事務って大変だなって思っています(笑)
月永
楽だと思っていたの?(笑)
福島
はい。
あとは医療というところで言うと、正直、カンファレンスを聞いていて、そこで話されているのが病名なのか薬の名前なのかすら、何を言っているのか分からない…という所から始まり、そこから勉強をする日々でした。
本当に、この年になってこんなに学ぶことがあるんだなってすごく思って。なんか今までなかった経験ができているなって思います。
月永
それって、ある日、何を話しているかがピシっと分かるようになるの? 「あ、今話がつながった」みたいな。
福島
なります、なります。ほんとうに。あ、なるほどなって。
月永
医療用語の略語とかも行き交うでしょ。
福島
はい。略語はひたすら検索して、段々「これはこの間調べていたからもう分かるな」みたいな感じで覚えていきました。すごく多いですよね、英語の略語。
月永
すごい努力しているね!
福島
していますよ(笑)。最初は言葉から分からないですよね?
柴
はい、本当にわからなかったです。
月永
福島さんは、未経験から入職して、途中から算定業務を担当するようになってもう2年くらい?
福島
2年くらいですかね。最初の面接や上司との面談の時に、いずれ医療事務の資格がとれたらいいなと思っていますみたいな話はしていて。最初は患者サポートの業務をする中で、自然と「これやってみる?」みたいな感じで算定を始めました。
月永
思い出すとすごいよね。ゼロからだもん。
福島
すごいですよね。
カルテから処置とか検査とか、何が点数をとれるのか調べるところからで…検索の鬼でした(笑)。
柴
私も福島さんと一緒で、初めは何もかも分からない状態でした。カンファレンスでは、患者さまの名前くらいしか分からなくて。あとは病名で分かるのも「がん」とか。
福島
あ、この患者さまは熱を出しているんだなとか…
柴
はい。注意すべきところも最初は拾えないですし、どこを聞けばいいのかもわからないので困惑しました。
月永
それってどうやって乗り越えているの?
柴
もうほんとに、ひたすらメモしました。もう分からないことも全部、聞こえる言葉はすべて。それで、後から全部調べるっていう感じでした。分からないことは先輩たちに確認しながら、ちょっとずつ埋めていく。それで、カンファレンスで何が起きているのか、なんであの時に話が広がったのか、などを理解していきました。
月永
そうだよね。例えば、僕が誰かを注意していてもなぜなのか分からない。
柴
そうなんです。それから、カンファレンスの内容を患者サポートの仕事に結びつけるのもまた難しくて。あのご家庭はこういう事情があるから気をつけようね、とかが、徐々にやっと理解できるようになってきました。
最初は本当にすべてがマイナスぐらいの勢いでしたね、理解度は。
月永
今はどう?
柴
今は注意すべき点や、先生や看護師さんたちが何に気を配ってらっしゃるのかなどが少しずつ分かるようになってきました。
月永
カンファレンスは事務方に向けてやっているわけじゃないから、実際サポートチームのみんなからすれば大変な所もあるんだね。毎日30~40分あって、注意される人がいたり、サポートチームのリーダーとかは急に話を振られたりもして。
福島
はい。
月永
二人とも、僕がカンファレンスで言う『医療あるある』で笑えるようになったら、大したもんだと思う。
サポートチームには、せめて基本的なことだけでも直接教えたくて、僕が講義をしたこともあるよね。
柴
あれですごく理解が深まりました。最低限の知識がどこなのかも分からない中で、月永先生が分かりやすく説明してくださったのでとても助かりました。そこから「あ、あそういうことだったんだ」っていうのが増えてきました。
スタッフとの距離感
福島
私はカンファレンス自体ここが初めてなので、こういう雰囲気なのかなって思っているんですけど、看護師さんからは「カンファってこんな和やかなものじゃないよ」とすごくよく聞くんです。
月永先生はカンファレンスをやられている時に、ビシっと言う所とフォローを入れる所と、メリハリをつけていらっしゃいますよね。
月永
別に僕もそんなにカンファレンスをしてきたわけじゃないけど、技術は段々ついてきていると思う。やっぱりいろんな人を活かしたいし、でも一番は患者さまがよくなることだから、患者さまのためにって思える人じゃないときついこともあると思う。医療従事者のスタッフは、本当にポジティブにやってくれているなと思うよ。
福島
そうですね。
柴
私もはじめは「先生」という方は怖いイメージがあったんですけど、先生は看護師さんにも私たち事務方にもほんとに気さくに話して下さいますよね。訪問した患者さまからも「すごい気さくでいい先生だ」と言っていただくこともあります。何か人に対して心がけていらっしゃることはありますか?
月永
心掛けていることは…、みんなに気分良くあってほしいかな。だから(自分が)怒っている時が一番嫌だよね。
昔からそう思っていて、例えば某テーマパークの有名キャラクターとか、嫌だと思う人は少ないでしょ? だからそういう面白くてユニークな存在でありたいっていうのは高校生くらいの時から言っていた気がするな。そういう人が真剣に考えて注意とかしたら、みんな聞いてくれるでしょ。
福島
素敵じゃないですか! 〇ッキーって呼んでいいですか?(笑)
月永
いいですよ、だからそういう感覚はあるよね。
柴
話しかけやすい雰囲気を作ってくださるので、ありがたいです。
子育てしながら働く、ということ
転職を考えた時に重視していたポイントは何ですか?
福島
前職からの転職を考えていた時、子どもは1歳になりたてでした。その時の仕事自体は好きだったから本当はやめたくなかったけど、土日が休みではなくて。でも今の自分にとっては子どもが一番大事だから、基本的に土日祝日に休める所を探していました。
柴
私はまだ子どもはいなかったですけど、いずれ子どもを授かりたいと思ったときに、前職のアパレル職だと子どもを優先した休みの取り方ができなかったり、夜10~11時まで働くこともあったりで難しいと思って。土日祝日がお休みで、決まった時間で働ける環境を探していました。
福島
実際にさつきに入職してみると、忙しいこともありますけど…
月永
頭が忙しいんじゃない? よく使うから。
福島
はい、頭をめちゃくちゃ使います、ほんとに。熱が出そうなくらいに考えながら仕事はしていますけど、スタッフも子育てに理解がある方が多いので、働きやすい環境ではあるかなと思います。
月永
実際、柴さんは来月から産休に入るよね。妊娠が分かってから今までどうでしたか?
柴
働いている方にママさんが多くて、本当にみなさんが相談に乗ってくださるので、すごく安心して働けます。
みなさん体の調子を聞いてくださったり、つわりの時など辛い時に辛いと言える環境だったり、本当に助かりました。仕事配分とかも人事の方がまず私の体調などをヒアリングしてくださった上で、チームのリーダーと連携をとりながら計画を立ててくれて。安心して仕事の引継ぎや配分調整ができました。
月永
つわりの時とか、土偶みたいに辛そうな顔をしていた時もあったよね。医者だから分かるよ、明らかに我慢している顔だから…「あ、これ絶対何かあるでしょ」ってすぐ分かる。
柴
そうですね、胃が痛くて…。本当にありがたかったです、だから。
福島
私も、結構子どもの体調不良で突発的に休んだりしても、快く休ませていただけるので、ありがたいですね。
月永
いい職場ですねぇ(笑)。
福島
いい職場ですね、素敵です!
(2021年8月5日取材 文・編集・撮影 広報 藤井弥恵)