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投稿:2019.08.27

【スタッフインタビュー】理学療法士「チームとして現場に入っていると強く感じます」

超高齢化社会を迎える日本において、今後ますます需要が増えている在宅医療の治療の一つとして、訪問リハビリテーションは必要不可欠な存在といえます。

そこで今回は、当クリニックで訪問リハビリテーションを担当している理学療法士の水沼さんに、訪問リハビリテーションを始めたきっかけや、当クリニックの強み、これからの展望などを聞きました。


水沼史明 (みずぬまふみあき)
さつき訪問リハビリステーション所長。理学療法士。JCHOうつのみや病院で急性期病棟や回復期リハビリテーション病棟、通所リハビリテーション、介護老人保健施設等の経験を通し、退院後の在宅でのリハビリテーションの重要性を実感。訪問看護ステーションえすぽで訪問リハビリテーションの実績を積んだ後、より医師との距離が近い環境で質の高い訪問リハビリテーションを実現するため、2019年5月よりさつき訪問リハビリステーションへ。

動けなくなった患者さまを目の当たりにして感じた訪問リハビリテーションの大切さ

―「訪問リハビリテーション」を始めようと思ったきっかけは?

以前、病院の急性期・回復期病棟でのリハビリテーションを頑張って、良くなって退院した患者さまが、数カ月後に外来でお見かけしたときはすっかり動けなくなっていた…ということがありました。

その時、患者さまが家に帰った後、病院での頑張りを無駄にしないためにも、訪問リハビリテーションを充実させることが必要だと感じました。自宅での生活をしっかり支えられるセラピストが地域に増えないといけないんじゃないか、と。

とはいえ、その当時は訪問リハビリテーションが可能な訪問看護ステーションや訪問リハビリテーション事業所自体が少なく、病院から在宅へのつなぎ方も分からず…。

そこで、「まずは自分がやろう」と訪問看護ステーションに転職し、訪問リハビリテーション部門を立ち上げました。

―実際にやってみてどうでしたか?

それこそ始めは手探りで、他の訪問リハビリ事業所へ見学に行き、理学療法士の先輩に話を聞いて勉強したり、多職種の皆様が集まる勉強会に積極的に参加して、つながりを作っていったりしました。

そのうち地域のケアマネジャーさんたちからどんどん依頼が入り、毎月の訪問件数は80~90件を超えるように。やはり需要はあるんだなと感じました。

しかし同時に、
・医師と十分な連携をとるのが難しい時がある
・依頼から支援に入るまでにタイムラグがある
・本当に訪問リハビリテーションが求められている時期に支援できない事がある
などの新たな課題も見えてきました。

そこを解決するために、在宅医療を専門で行っているさつきホームクリニックに入職することを決めました。

医師や看護師と一つのチームとして診る

―当クリニックで働いてみてどうですか?

医師や看護師との距離が近いです。毎朝約1時間行われるカンファレンスには、医師と看護師と一緒に参加し、理学療法士として提案をしたり、意見を求められたりすることもあります。

その場で気になったことがあれば、その日のうちに患者さまにお会いしてお話を聞き、評価やアドバイスをすることもあります。業種による境目がなくて、チームとして在宅医療の現場に入っていると強く感じます。

訪問診療や訪問看護にも積極的に同行して、必要性を感じればこちらから訪問リハビリテーションを提案することもあります。訪問でなくてもいいと判断すれば、ほかのサービスへつなげるようにしています。

クリニック内は、スタッフの仲が良く、月永理事長をはじめ先生たちにも相談しやすい雰囲気です。

先生や看護師さんと同じフロアにいるので、気になったことはすぐに確認したり、相談にのってもらったり、冗談も言えたり(笑)。最近では「この患者さまが気になるんだけど、どう思う?」と相談してもらえることも増えました。

訪問リハビリテーションの現場に看護師さんが来てくれることもあるなど、お互いを尊重しながら患者さまを支えることができていると感じます。すごく良い環境だな、と。

―医師や看護師との距離が近いからこそできたことは?

病院から退院したばかりの患者さまの支援に、すぐに入ることができました。病院でやってきたことを無駄にせず、在宅でも活かすことができるようになったと思います。

たとえば、退院日が決まったら、退院時カンファレンスに出席して、病院のセラピストと自宅での生活や環境、注意点、自主トレーニング内容などを話した上で、当院の主治医とも相談しながら在宅でのリハビリテーションにスムーズに移行する、といった理想的な流れも実現できるようになります。

うまく「つなぐ」ことができれば、退院後に状態が悪化することを防ぎ、回復する可能性が高くなると思います。

また、急に具合が悪くなって動けなくなった患者さまに対しては、集中的に毎日支援に入ることで、重症化させることなく回復にもっていけたというケースもありました。

これは、急性増悪時から14日間限定で医療保険を使って訪問リハビリテーションが可能であるという制度を利用したもので、寝たきりが長くなれば長くなるほど予後は悪くなることを考えると、医師の指示を受けてすぐに動けるのは大きな強みだと思います。

―理学療法士としてどんなスキルが身につきますか?

さつきホームクリニックで訪問診療している方は600人を超えており、訪問リハビリテーションの需要が多いため、さまざまな症状やケースを経験することができます。

人工呼吸器や末期のがん、神経難病など医療依存度が高いケースでは、医師や看護師と連携しながら支援に入るので、医療的な視点を学ぶことができますし、症状が安定していて積極的な支援を希望されるケースでは、訪問リハビリテーションがメインの関わり方ができます。本人の生活をしっかりとみることができるので、いわゆる生活期のリハビリテーションが学べます。

福利厚生面では、研修会や勉強会・学会へのサポート、書籍購入の補助等が充実。どんどん学んで、訪問リハビリテーションに携わる自立したセラピストを目指せます。

やはり、在宅医療ということで、一人の患者さまに対して退院してからご自宅で亡くなるまで、その方の人生に訪問リハビリテーションを通して密に接していくことになります。医師や看護師と連携しながらずっと寄り添っていけるというのは、セラピストとしてのやりがいにもつながると思います。

訪問リハビリテーションのベースをしっかりと作っていく

―「さつき訪問リハビリステーション」が開所して数カ月経ちましたが

訪問診療にリハビリテーションの視点を浸透させていくことで、診療や看護自体の質も高めていってもらえているのかなと思います。

訪問件数も増え続けているので、自分の思い描いていた訪問リハビリテーションの形は需要があったんだな、と。

まだまだやれることや足りていないことはたくさんあるので、医療的な視点も含めて勉強中です。

―今後目指している訪問リハビリテーションの形は?

訪問リハビリテーションは、患者さまの状態によって関わり方が変わってくると思います。

たとえば、比較的安定している生活期には訪問リハビリテーションを主として集中的に、急性増悪時には早期から頻回に対応、終末期では身体機能・ADL能力の悪化を支えながらQOLの低下を防ぐなど、時期を分けて効果的な関わり方をしていきたいと考えています。

そのためには、一人では限界があるので一緒にやっていける仲間を増やそうと思っています。患者さまのために、質の高い訪問リハビリテーションを提供し、当ステーションで担当できる方をもっと増やしていくためにも、まずはしっかりと「さつきの訪問リハビリテーション」のベースを作っていきたいですね。

あとは、さつきには慢性心不全認定看護師や緩和ケア認定看護師など、経験豊富な看護師がいるので、看護師とセラピストで心不全・緩和ケアなどの専門チームを組んで、支援に入ることも考えています。

また、今後はクリニック内だけでなく、他病院との人材交流などを通して視点を広げていくことも重要だなと感じています。患者さまのためにできることはないかを考えて、形にしていきたいです。

―最後に訪問リハビリテーションにかける想いをどうぞ!

私は、訪問リハビリテーションで、患者さま、利用者さま、そのご家族さまと接している時間が本当に好きです。

大変だったこと、辛かったこともたくさんありますが、何より担当させていただいた方の笑顔が見られた時や、「ありがとう」と心から言っていただけた時、その方の生活が少しでも良くなった時、人生の最期まで関わらせていただけた時に、この仕事をやっていて良かったと心から思えます。

私がさつきホームクリニックに入職したのは、患者さま、利用者さまのために、訪問リハビリテーションの質を高めて、できることや選択肢をもっと増やしたいと思ったからです。

まだリハビリテーション部門は私一人しかいませんが、訪問リハビリテーションの需要は多く、医師や看護師からも必要とされているため、セラピストの募集をしています。

想いに共感して、一緒に働いてくれる仲間が増えると嬉しいです!

2019年8月27日公開 文章・編集・撮影 広報 藤井弥恵

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